【5月29日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は28日、平時に実施された「特殊作戦」中に死亡したロシア軍兵士の情報公開を禁止した。ロシア政府は、同国軍兵士がウクライナでの戦闘に加わっているとする批判を否定し続けている。

 プーチン大統領は、ロシアの「国家機密」に「平時の特殊作戦における…兵士の死亡を明らかにする情報」を追加する大統領令に署名した。これにより、作戦遂行のため派遣された軍の兵士の死亡に関する情報を公開した者は訴追対象となり得る。

 この大統領令では、「特殊作戦」が具体的に何を意味するのか明らかにされていない。ロシアでは国家機密の公開は犯罪で、外国への情報提供がない場合で、4年以下の禁錮刑が科される可能性がある。

 先に活動家らが、ウクライナ領内でロシア軍兵士が死亡したことを示す一連の証拠を公開。識者らは、今回の大統領令はウクライナにおけるロシア軍兵士の死亡情報の漏えいを防ぐ狙いがあるとみている。

 軍事アナリストのパベル・フェルゲンハウエル(Pavel Felgenhauer)氏は、ウクライナ東部におけるロシア兵の死亡情報を公開しようとする人を投獄し、あるいは萎縮させてそのような情報の公開を阻止するのが今回の大統領令の目的だと指摘した。

 フェルゲンハウエル氏は、「特殊作戦という概念の法律上の定義は聞いたことがない」として、「つまり、何でもそれ(特殊作戦)に分類することが可能になる」と述べた。

 一方ロシア通信(RIA)が伝えたところによると、ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、今回の改定は国家機密に関するロシアの関連法規を改善したにすぎずウクライナ情勢とは無関係であり、プーチン大統領はウクライナ領内での特殊作戦を許可する意図を持っていないと述べた。(c)AFP/Anna MALPAS