【5月28日 AFP】ロシアの潜水調査チームは27日、クリミア（Crimea）半島沖の黒海（Black Sea）で、ビザンツ（Byzantine）帝国時代の船の残骸を発見したと発表した。船の残骸からは、10世紀の陶器が多数見つかったという。

 昨年ウクライナからロシアに併合された、長い歴史を持つクリミア半島のセバストポリ（Sevastopol）沿岸沖で発見されたこの船の残骸は、数隻の船の衝突によるものである可能性があると調査チームの隊長らは声明で述べている。

 潜水チームのロマン・ドゥナエフ（Roman Dunayev）隊長とロシア科学アカデミー（Russian Academy of Sciences）の歴史学者のビクトル・レベジンスキー（Viktor Lebedinsky）氏は声明を発表し、「今回の考古学的な発見は、これまでに知られている中で最大規模の発見となる可能性がある」と説明。また「沈没船の調査をさらに進めることは、黒海沿岸の国家間の貿易や経済、文化面での関係の独自性を確認する一助となるに違いない」と続けた。

 調査チームは今後、見つかった人工遺物の正確な年代測定を行うとともに、来月には探索範囲を拡大して潜水調査を実施する予定だという。

 ロシアの国営テレビでは、5月の潜水調査で撮影された水中映像が放送された。映像には「アンフォラ」と呼ばれる、取っ手が2つ付いたつぼが数百捉えられていた。つぼは海底に沈殿した土砂に覆われていたが、一部はまだ原形を保っているようにみえた。

 ビザンツ帝国時代、クリミア半島の沿岸地域には主にギリシャ人が居住していた。現在はロシア黒海艦隊（Black Sea Fleet）の駐留基地があるセバストポリは当時、主要交易路上に位置していた。(c)AFP