ナチス支配下の生活を再現、リアリティー番組が物議 チェコ
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【5月25日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazis)保護領時代のチェコの山村で、秘密警察ゲシュタポ(Gestapo)が目を光らせドイツ兵が通りを巡回するなか、おびえながら戦中の困窮生活を送る一家──歴史ドラマの一場面ではない。放映開始以来チェコで物議を醸しているリアリティー番組「保護領での休日(Holiday in the Protectorate)」の第1話の場面だ。
第2次世界大戦(World War II)のナチス支配下での生活を現代に再現させようとの試みで、現代の3世代の一家が当時の服装で配給食生活を送り、1939年にアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)によって事実上の占領が始まってから当時のチェコ人たちが経験した苦難の生活を体験していく。ゲシュタポやドイツ兵、村人たちは俳優が演じている。
撮影は昨年夏の2か月間、チェコ人が住民の多数を占め、第2次世界大戦当時ナチス・ドイツのかいらい政権の支配下にあったボヘミア(Bohemia)とモラビア(Moravia)地方で行われた。全8話の予定で公営のチェコ・テレビ(CT)が放映しており、各回のタイトルは「生き残りの法則」「すぐそこにゲシュタポがいる」など。
文化に配慮していると評価されることはほとんどないジャンルの番組ではあるが、ひどすぎるという怒りの声はチェコのみならず国外でも上がっている。
ニュースサイト、タイムズ・オブ・イスラエル(Times of Israel)に寄稿したコラムニストによると、ナチス保護領時代のチェコで強制収容所に送られたりナチ協力者に殺害されたりしたユダヤ人は8万2309人に上ったという。(c)AFP