イルカの肺疾患と大量死、BP原油流出に起因 研究報告
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【5月21日 AFP】2010年にメキシコ湾(Gulf of Mexico)で起きた英エネルギー大手BPの原油流出事故による石油汚染の影響で、海域のイルカが異常な肺疾患にかかり、高い確率で死んでいるとの研究報告書を米国の科学者らが20日、発表した。
2010年の事故後、米ルイジアナ(Louisiana)、ミシシッピ―(Mississippi)、アラバマ(Alabama)の各州沿岸には、バンドウイルカの死骸や瀕死の個体が多数打ち上げられている。米科学誌「プロスワン(PLoS ONE)」に掲載された今回の報告書は、事故と大量死の因果関係を示す、これまでで最も有力な証拠を示すものだ。
BPの石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」は2010年4月20日に爆発し、原油490万バレルが海中に流出した。
全米海洋哺乳類財団(National Marine Mammal Foundation)の獣医伝染病学者で報告書の筆頭著者であるステファニー・ベン・ワトソン(Stephanie Venn-Watson)氏は、イルカが大きく深く息を吸い込む水面に膜が集中していることを指摘し、「そこで石油そのものが吸い込まれやすくなる」と説明している。
また、「事故後の石油合成物への暴露によりイルカは悪影響を受けている。これら化合物に起因する副腎および肺の疾患がメキシコ湾北部でのイルカ大量死につながっている」と続けた。 (c)AFP/Kerry SHERIDAN