出生証明書に3人の親、アルゼンチン初
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【5月20日 AFP】アントニオちゃんは生後14か月で、成長が早く、物をつかむのが好きな典型的なアルゼンチンの男児だが、一点だけ他の赤ちゃんと異なっている──同国で初めて、法的に2人の母親と1人の父親がいる赤ちゃんなのだ。
アントニオちゃんは2014年3月、レズビアンのカップル、スサナ・ギチャル(Susana Guichal)さんとバレリア・ガエテ(Valeria Gaete)さんの間に生まれた。長年の友人、エルナン・メラッツィ(Hernan Melazzi)さんが2人に精子を提供した。
ギチャルさんとガエテさんは、メラッツィさんも家族の一員だと考え、赤ちゃんの出生証明書に3人の親の名前を記載できないかと当局に問い合わせた。
同性愛者の権利に対して進歩的なアルゼンチンは、2010年7月に南米で初めて同性婚を認めた他、同性愛者のカップルが養子を引き取ることも認めている。ギチャルさんとガエテさんは要望をかなえるために長期間の裁判を余儀なくされる恐れもあったが、ブエノスアイレス(Buenos Aires)州当局は行政決定だけで2人の要望を許可した。
州当局から許可を受けた3人は先月、出生届を提出し、3人全員の名前が入ったアントニオちゃんの出生証明書を受け取った。
隣国のブラジルでも昨年同様に、裁判所が母親2人に父親1人、さらに6人の祖父母を記載した出生届を認める事例があった。またカナダと米国でも、3人の親を記載した出生証明書が認められている。(c)AFP