【5月20日 AFP】ジャイアントパンダは200万年間、主にタケを食べ続けてきたにもかかわらず、その消化器官は草食に適合していないとの研究結果が19日、発表された。この研究結果から、パンダが「進化のジレンマ」に陥っていることがみえてくるという。

 米国微生物学会(American Society for Microbiology)のオンラインジャーナル「mBio」に発表された論文によると、今回の研究では、ジャイアントパンダ45頭を対象に1年間にわたる調査が行われた。その結果、パンダが「他の草食動物とは完全に差別化された」消化器系を持っていることが明らかになったという。

 論文の要約では、ジャイアントパンダが祖先である雑食性のクマの腸内バクテリアをいまだに保持していることが説明され、また「他の草食動物は、繊維質の植物を効率的に分解するための解剖学的に分化した消化器系への進化を成功させているが、パンダの消化管は、典型的な肉食動物のものだ」と記されている。そして、このことが「この草食動物の共進化適応度にマイナスの影響を及ぼす可能性がある」と指摘された。

 ジャイアントパンダは、1日14時間で最大12.5キロのタケやササを食べるが、消化できる量は摂取量の約17%にとどまる。

 中国国営新華社(Xinhua)通信によると、論文共同執筆者で、中国・上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)の龐小燕(Pang Xiaoyan)氏は「今回の結果は予想外で、極めて興味深い。ジャイアントパンダの腸内微生物群は、その特徴的な食べ物に対して十分に適合していない可能性があり、パンダを進化のジレンマに陥らせていることを示唆しているからだ」と話しているという。

 中国には、野生のパンダが約1600頭生息しており、他に300頭が飼育されている。(c)AFP