【5月19日 AFP】世界保健機関(WHO)は、西アフリカで昨年起きたエボラ出血熱の流行への対応の遅さに対する批判を受け、緊急事態対応の抜本的改革を年内に実行する。WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長が、スイス・ジュネーブ(Geneva)の本部で18日に開幕した年次総会(World Health Assembly)で発表した。

 チャン事務総長は、危機が発生した際にWHOがより敏速に効果的に対応できるよう「抜本的な改革」を行うことを決意したと言明。今後、危機的事態が発生した際に備えて「任意の柔軟な拠出によって」即時に調達可能な資金を用意する1億ドル(約120億円)規模の緊急用積立金の創設を呼び掛けたと述べた。またWHOは、事務総長に直接報告を行う公衆衛生緊急事態のための共同プログラムも発足させるという。

 またチャン事務総長は、WHOの緊急対応スタッフの技量を、物資調達の専門家や医療人類学者、リスクコミュニケーションの専門家などを加えることで強化する方針を示した。エボラ危機では、コミュニケーションの不足と流行発生地域の住民の伝統や習慣に対する理解不足によって、患者の隔離や伝染力の高い遺体の安全な埋葬方法に対し、地域の広範な抵抗を招いたと非難されている。

 さらにチャン事務総長は、16~17年度の予算を前年比10%増の44億ドル(約5300億円)とし、うち2億3600万ドル(約280億円)を監視・対応能力の拡充にまわすことを提案した。(c)AFP