東南アジアで横行するロヒンギャ人らの人身売買
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【5月21日 AFP】インド洋(Indian Ocean)北東のアンダマン海(Andaman Sea)を漂流中に救助された少数民族ロヒンギャ(Rohingya)人たちが、難民船に乗り込むためには1人1100ドル(約13万円)が必要だった。彼らは、タイ南部を中心とする人身売買の闇市場の犠牲者たちだ。
やせ衰え、汚れた衣服をまとったロヒンギャ人たちが詰め込まれた木造船。乗っていたモハマド・サリムさん(30)は目的地に到着したら、業者に要求された4000マレーシアリンギット(約13万円)を、兄が払うはずだったと語った。「まだ何も払っていない。ただマレーシアに着きたい」。無慈悲な密航業者たちのネットワークが分裂すると、必死で逃れてきた難民たちは取り残され、船上で飢えに苦しむ。AFPがタイ南部のリペ島(Koh Lipe)沖で目撃した漂流船もそうだった。
サリムさんが話したように、到着後に料金を払う契約は、祖国を持たないイスラム教徒のロヒンギャ人たちが、絶望的な環境の中で暮らしているミャンマー西部や、隣接する貧しいバングラデシュ沿岸部を起点とする密航業者のネットワークが好む方法だ。密航ネットワークは数百キロ離れたタイ南部の先にまで及んでいる。
この数か月、密航業者は手口を変え安価な、時に無料での密航を提供するようになった。人権保護団体によると、実際に金の支払いが発生するのはタイ南部に着いてからだ。難民たちはここで森林の中にある収容所に拘束され、解放されるために約2000ドル(約24万円)を親戚や友人らが支払うのを待つ。払われない場合は、業者が難民たちをまとめてマレーシアの農場や企業などに売る。
タイ警察の捜査を支援する反人身売買団体フリーランド基金(Freeland Foundation)によると、難民たちは勧誘されたり、だまされたり、またときに誘拐されたりして集められる。また400人が乗った船一隻で、業者にとっては最大80万ドル(約9700万円)の利益になるという。