【5月15日 AFP】米人気俳優ジョニー・デップ(Johnny Depp)さんの2匹の愛犬が、オーストラリアで安楽死の危機に直面している問題で、2匹が安楽死させられるのを避けるため、デップさんは15日夜に愛犬たちを同国から出国させるとみられている。

 シドニーのデーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙は、デップさんと、妻で米女優のアンバー・ハード(Amber Heard)さんが豪農務省に対し愛犬のピストル(Pistol)とブー(Boo)を15日夜に同国から出国させると話したと伝えた。

 2匹を出国させる前にデップさんは、2匹がどのようにして同国に持ち込まれたかの調査の一環として検疫官の事情聴取を受けるという。

 デップさんは映画『パイレーツ・オブ・カリビアン(Pirates of the Caribbean)』シリーズ最新作の撮影のためオーストラリアに滞在中だが、プライベートジェットで先月ブリスベーン(Brisbane)に到着した際、連れてきた愛犬のヨークシャーテリア2匹について税関に申告せずに入国していた。

 オーストラリアは国内への疫病の侵入を防ぐため厳しい動物検疫制度を設けている。デップさんが無許可で犬を連れて入国した事実が明らかになり、バーナビー・ジョイス(Barnaby Joyce)豪農相は14日、デップさんに対し、2匹を「即時送還」しなければ安楽死させると警告した。

 ジョイス農相は豪公共放送ABCのインタビューで、2匹について、母国(米国)に戻るための適切な許可がなく、「無国籍」になることを「真剣に心配している」と話した。さらに「問題なのは、デップさんが(オーストラリアの)法に違反していたとしたら、彼は米国の法にも違反しているのではないかということだ」、「私が心配しているのは、米国が2匹を再入国させるかどうかということだ。もし再入国できなければ2匹に行くべき場所はあるだろうか」と語り、2匹にはいまだに安楽死の可能性があると述べた。

 オーストラリアの法律では、米国から持ち込まれた犬には最低10日間の検疫期間が設けられており、これに違反したとして、デップさんは罰金を科せられるとみられている。

 ジョイス農相は「ジョニー・デップだからといって、わが国の法律の対象外になるわけではない」「ただちに米国に送還しなければ、2匹を安楽死させることになる」と14日に語ったが、この発言に対しソーシャルメディアでは批判の声が上がり、2匹を守ろうという請願に数千人が署名した。(c)AFP