【5月14日 AFP】フィリピンの首都マニラ(Manila)近郊の履物工場で13日に発生した火災で、地元当局は14日、72人の死亡が確認されたと発表した。この工場について犠牲者の家族や従業員らは、防火対策がほとんど行われていない劣悪な労働環境だったとして怒りをあらわにしている。

 火災が起きた工場は2階建てで、避難用の出入口が少なかった上、火災防止のための訓練も行われていなかったとされ、火災が起きた際、内部には多数の従業員が閉じ込められた。工場のあるバレンズエラ(Valenzuela)市のレックス・ガチャリアン(Rex Gatchalian)市長によると、14日午後までに72人の遺体が収容された。遺体の数は不明者の数と一致していることから、これがほぼ最終的な死者数だろうとしている。

 火災の原因は、工場の壊れた入り口の修理に使われていた溶接機器から出た火花が、周囲にあった可燃性の化学薬品に引火したことにあるとみられている。

 この工場は、国内市場向けの安価なサンダルやスリッパを生産していた。無事だった従業員や犠牲者の家族らによると、従業員らは悪臭を放つ化学薬品に囲まれ、最低賃金以下の給料で働いていた。火災防止のための安全基準についても、何も知らされていなかったという。(c)AFP/Joel GUINTO