【5月14日 AFP】映画祭「カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)」が13日、南仏カンヌで開幕した。最高賞パルムドール(Palme d'Or)を競うコンペティション部門に出品している日本の是枝裕和(Hirokazu Koreeda)監督(52)が、現地でAFPのインタビューに応じた。

 日本国内で最も評価の高い映画監督の一人である是枝監督は、同部門に出品している映画監督19人のうちの一人。吉田秋生(Akimi Yoshida)氏原作のマンガを映画化した今回の出品作品『海街diary(Our Little Sister)』について、原作を読んだ際に他の監督に映画化の権利を取られてしまうのではと心配したという。

 同映画の舞台は、東京近郊の古都、鎌倉。映画には、長澤まさみ(Masami Nagasawa)さん、綾瀬はるか(Haruka Ayase)さん、広瀬すず(Suzu Hirose)さんら人気女優が出演している。

 物語は、3人の姉妹が、疎遠となっていた父親の葬儀で母親の違う妹に初めて会うことから始まる。

 映画では、大きな愛情を持って妹を迎え入れる姉妹3人の姿が描かれており、主人公が異母姉に冷遇される「シンデレラ」とは一線を画す内容となっている。是枝監督のトレードマークともいえる愛情溢れる家族ドラマだ。

 是枝監督は、2007年にマンガの連載が始まった時点であっという間に心を奪われたと述べ、作品の映画化についてもすぐに頭をよぎったという。

 是枝監督は、「すぐにこの作品の世界に完全に引き込まれ、ストーリーに完全に没頭した。そして『絶対に誰かが映画化するぞ』と言い聞かせ、自分がその誰かでありたい。自分しかいないと思った」と当時を振り返った。

 制作にあたっては、海岸沿いの桜の木や線香花火を楽しむ浴衣姿の姉妹など、原作にある美しい描写の一部映像化を目指したという。

 同監督の映画『そして父になる(Like Father, Like Son)』は、2013年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。同映画をめぐっては、同年の審査委員長を務めたスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督がリメークの権利を獲得したとも報じられている。

 その他の代表作には、ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)で金オゼッラ賞を受賞した映画『幻の光(A Trick of the Light)』(1995)や、カンヌ国際映画祭で主演の柳楽優弥(Yuuya Yagira)さんが史上最年少の男優賞を受賞した『誰も知らない(Nobody Knows)』(2004)などがある。(c)AFP/Deborah COLE