インターセックスの人々に「手術の自己決定権を」 欧州評議会
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【5月12日 AFP】欧州評議会(Council of Europe)は12日、両性の特徴を持って生まれた「インターセックス」と呼ばれる子どもに対し、体の特徴を男性あるいは女性に合わせる手術を本人の同意なく行ってはならないとする見解を発表した。また、各国の当局に対し、人々の性別を男女の二元論で分類することはやめるべきだとも訴えている。
欧州評議会人権委員のニルス・ムイズニクス(Nils Muiznieks)氏は、インターセックスの子どもたちが本人の合意のないままに「不必要な外科的介入や医療処置を受けている」と指摘。「結果、インターセックスの人々は、身体の統合性に対する権利や自らの性的アイデンティティーを発達させる能力を否定されている」と述べ、そうした「受け入れがたい状況」を終わらせるべきだと語った。
米国の研究者アン・ファウスト・スターリング(Anne Fausto-Sterling)氏によれば、生まれてくる子どものうち約1.7%にインターセックスの特徴があるという。これには、卵巣と精巣が両方ある子どもや、ホルモンバランスから明確な性別分けが難しい子どもなどが含まれる。
ムイズニクス氏は、親たちが医療専門家らから誤った情報を与えられたり、国の機関にどちらかの性別を選ぶよう圧力をかけられたりすることが多く、それによって元へは戻せない手術へ踏み切っていると指摘し、「インターセックスの人々の自己決定権を尊重すべきだ」「性決定の処置は、子どもが自由意思による完全なインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)を示すことができる年齢になってから可能となるべきだ」と提言。さらに、「性的特徴の多様性を病的なものととらえる国および国際的な医学的分類は見直されるべきだ」と述べた。
出生時に子どもの性別が決定できなかった場合に性別の届け出期間を無制限としている国は、欧州では現在、フィンランドとポルトガルのみ。一方、フランスでは、特例として最大3年間、届け出が猶予される。またドイツでは決定するまで新生児の性別を届け出なくてよいが、その間、出生証明書が発行されず、養育手当や保険などに問題が生じる。(c)AFP