【5月11日 AFP】ナイジェリア北東部の村をイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」が襲った時、ザラ・マラムさん(25)の息子のモハメドちゃんは、生後わずか5か月だった。2人は、ボルノ(Borno)州サンビサ森林地帯(Sambisa Forest)にあるボコ・ハラムの拠点へと連れ去られた。

 数か月にわたる拘束により、モハメドちゃんの頭は栄養失調で大きく膨れ上がり、骨ばった小さな体からはしわになった皮膚が垂れ下がっている。

「彼ら(ボコ・ハラム)は私の息子のために何もしなかった。他の子どもに対しても同じだった。食料も服も水も…何もなかった」と、ザラさんはヨラ(Yola)の医療センターでモハメドちゃんをあやしながら語った。

 ザラさんは、ナイジェリア軍が先週、サンビサ森林地帯にあるボコ・ハラムの拠点を襲撃して人質を解放した際に、銃弾や地雷で負傷した15人の女性の1人だ。

 しかし、ボルノ州と隣接するアダマワ(Adamawa)州に位置し、比較的安全なここヨラでさえ、医療センターの前には警備員が立っている。「政府軍の兵士がきたとき、私たちは本当にうれしかった。今は、ただこの子が良くなってほしい」。ザラさんはAFPの取材にこう語った。

 ベッドは重傷患者が使っているため、ザラさんら女性たち数人は床に座って過ごしている。彼女たちの腕に抱かれているのは、重い栄養失調と脱水症状の治療を受けている、衰弱して目がくぼんだ子どもたちだ。

 元人質の女性らは、ヨラ郊外にある避難キャンプから先週、この病院に運ばれた。同キャンプには今月2日、サンビサから救出された女性と子ども275人が到着した。

 同キャンプのクリニックで働く看護師は「(救出された人質たちが)ここに運ばれたとき、100人以上の子どもがいた」「検査の結果、31人が深刻な栄養失調に陥っており、その全員が5歳未満だった」と語った。

 うち一部は、国内外の支援機関から供給された粉ミルクやビタミン剤、ジュース、オートミールで体重を回復したという。モハメドちゃんも含め、病院に運ばれた子どもたちは全員、順調に回復している。