【5月11日 AFP】(一部更新)インドネシアとマレーシアの沖合で11日、ミャンマーの少数民族ロヒンギャ人やバングラデシュ人の難民およそ1400人が救助された。両国の当局が発表した。インドネシア北部アチェ(Aceh)州では前日10日にも、木造船で漂流していた600人近くが保護されている。

 アチェ州救助当局によると10日朝、州北部の沖合に難民船が漂流しているとの通報が地元の漁師からあり、救援隊を派遣して女性や子どもを含む573人を保護した。さらに11日朝、沖合を船で漂流している約400人を発見し、救助した。

 インドネシア災害当局関係者によると、救助された難民の一人は、アチェ州の海岸近くまで木造船で来た後、仲介業者から泳いで岸までいけと言われたと話している。殴られたり熱湯をかけられたりしたため、一刻も早く迫害を逃れようと船5隻でミャンマーを先週離れたといい、行き先はどこでもよかったという。

 一方、マレーシア警察当局によると、同国に11日、バングラデシュとミャンマーの難民1018人が上陸した。難民らは船3隻で観光地ランカウイ(Langkawi)島の沖合まで来た後、密航業者に置き去りにされたとみられている。同島周辺ではさらに多くの難民が発見されており、救助される数は今後増える見込みだという。

 イスラム教徒のロヒンギャ人難民は通常、タイを経由して周辺国を目指す。しかし、タイ南部で先日、密入国したミャンマー人やバングラデシュ人のものとみられる集団墓地が見つかったことから、タイ当局は密航業者の取り締まりを強化しており、このため業者が船を遺棄したとみられる。

 仏教徒が多数を占めるミャンマーには約80万人のロヒンギャ人が暮らすが、バングラデシュ不法移民とみなされている。近年では宗教抗争の標的とされ、ミャンマーを逃れて難民となるロヒンギャ人が続出している。

 多くは海を越えてタイを目指し、そこからイスラム教国のマレーシアへ渡ろうとするが、その過程で密航業者の餌食となる例が後を絶たない。(c)AFP