【5月11日 AFP】南アフリカのエドナ・モレワ(Edna Molewa)環境相は10日、今年に入って4月末までに国内で密猟されたサイが393頭に上り、前年同期を18%上回って記録的な水準を更新したと発表した。うち290頭は、野生保護区「クルーガー国立公園(Kruger National Park)」内で密猟されたという。

 首都プレトリア(Pretoria)で記者会見したモレワ環境相によると、昨年1月~4月のサイの密猟数は331頭で、うち212頭がクルーガー国立公園のサイだった。隣国モザンビークとの国境沿いに広がる同国立公園には、南アフリカのサイ2万700頭の大半が生息する。

 南ア当局は密猟取り締まりのトップに軍の元司令官を据えて対策を強化しているが、密猟されるサイの頭数は2008年以降、年々増加の一途をたどっている。サイの角はアジアの伝統薬の材料として高額で売れるため、経済状況の厳しい南アやモザンビークでは密売に手を染める人が増えているのだ。

 一方で、「Rhino Force(サイ部隊)」の文字をデザインしたビーズのブレスレットを身に着けたり、赤いプラスチック製の実物大の角を自家用車につけたりして密猟に抗議する人々も増えている。

 南ア政府は2月、密猟防止策としてサイの角の売買を合法化した上で規制を設けることを検討すると発表している。(c)AFP