シリア国内でサリンとVXガスの関連物質を検出、EUが懸念
このニュースをシェア
【5月10日 AFP】シリア国内のこれまで申告されていなかった場所で、神経ガスのサリンとVXガスの関連物質の痕跡が検出されていたことが、8日に開示された欧州連合(EU)の文書で明らかになった。
オランダ・ハーグ(Hague)の「化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons、OPCW)」が7日に開いた非公開会合で、EU議長国のラトビア代表が報告した。OPCWの申告状況評価チームが最近、シリア国内の1か所で、そこには存在しないとされているサリンとVXガスの生成前の「前駆物質」の痕跡を発見したという。
会合後にOPCWの公式ウェブサイトに掲載された声明は、「以上のことから、EUはシリアが依然として化学兵器物質または未申告の化学兵器材料を保有している可能性を強く懸念している」と述べている。
シリアでは2013年8月に首都ダマスカス(Damascus)郊外でサリンを使った攻撃があり、バッシャール・アサド(President Bashar al-Assad)大統領の政権に国際社会から非難が殺到した。その後、アサド政権は化学兵器の引き渡しに同意。計1300トンの化学兵器がシリア国外に移送され、化学兵器処理装置を備えた米海軍補助艦「MVケープ・レイ(Cape Ray)号」で大半が分解処理された。
しかし米国は6日、シリア国内で塩素ガスを使った攻撃があったとの情報を受け、国連安全保障理事会(UN Security Council)にシリア国内での化学兵器使用の調査を行うよう求めている。(c)AFP