命を懸けてサイを守る、南アフリカのレンジャー訓練学校
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【5月7日 AFP】密猟取り締まりレンジャーの教官、サイモン・ルード(Simon Rood)氏(50)は、たくましい右腕にセミオートマチック・ライフルをしっかりとつかみ、射撃訓練への真剣さが足りないと訓練生たちを叱り付けた。
髪を短く刈り、腰のベルトにグロック(Glock)の拳銃を差した堂々たる風貌のルード氏が訓練生たちに怒声を浴びせる。「俺たちが教えていることを理解しようとしない。それがお前たちの悪いところだ。こいつは貴様らの女房みたいなもんだ、丁寧に扱え。銃の扱いが雑なやつがレンジャーになれるか」 。深緑の迷彩服を着て黒の軍用ブーツを履いた19人の訓練生はうなずいて、その言葉を受け止めたことを示した。
ルード氏は、絶滅の危機に瀕したサイが保護されている国公立・私立の自然保護区でパトロールに当たる要員を育成する専門企業「ンクウェ野生警備サービス(Nkwe Wildlife and Security Services)」を経営している。そのような業者は南アフリカ全体でもごくわずかしか存在しない。
「残念ながらこのビジネスでは銃撃戦が多い」とルード氏は語る。「武装テロリストどもが国境を越えて南アフリカの国家遺産を撃ち殺しに来るのだ」
南アフリカ政府によると昨年同国で密猟されたサイは1215頭と、記録的な水準に達した。東アジアでサイの角に医学的効能があるとされているためだ。アジアのブラックマーケットでは、サイの角に6万5000ドル(約780万円)の値がつくこともあるという。