【5月2日 AFP】タイ当局は1日、同国南部ソンクラー(Songkhla)県サダオ(Sadao)郡で、密入国したミャンマー人やバングラデシュ人のものとみられる集団墓地を発見した。

 集団墓地は、マレーシアと国境を接し、人の密輸ルートとして知られる人里離れたジャングルにある放棄されたキャンプで見つかった。

 マレーシアとの国境周辺には人身売買される外国人を収容する秘密キャンプのネットワークがあるとされている。大半は本人の意志に反して連れて来られた人たちだとみられ、親族などが多額の身代金を支払うまで、こうしたキャンプに拘束される。タイでは政府関係者が人身売買に加担していると非難する声も上がっており、軍事政権が取り締まりに乗り出していた。

 集団墓地の発見後間もなく現場に到着した救急隊員の1人はAFPに対し、「32の墓があった。4人の遺体を掘り起こし…検視のため病院に運んでいるところだ」 「遺体は全て腐敗していた」と述べた。

 この救急隊員によると、衰弱したバングラデシュ人の男性1人も発見され、発見場所に近いマレーシア・パダンブサール(Padang Besar)の病院で治療を受けているという。病院によれば男性の容体は安定しており、命に別条はない。

 タイ警察のソムヨット・プーンパンモウン(Somyot Poompanmoung)長官はこの場所で外国人たちは竹で作られた独房に入れられていたと語り、まるで「捕虜収容所」のようだったと述べた。集団墓地とみられる32か所のそれぞれに何体の遺体が埋められているか、まだ確認できていないという。

 長官によると、人身売買業者は2日前に、病気になったバングラデシュ人男性を置き去りにして、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)人たちをこの場所から国境の反対側のマレーシア領内に移動させたとみられている。地元メディアによれば、キノコ採りに来ていた近隣の村人たちが偶然、このバングラデシュ人男性とキャンプを発見した。

■危険な国境越え

 ミャンマーからは、数万人が国境を越えてタイに連れてこられる。その大半を占めるのはロヒンギャ人だ。しかし、人身売買のルートとして古くから使われている危険な海上のルートを通ってタイ南部にたどり着くバングラデシュ人も増えている。タイが南の隣国マレーシアやさらにその先への人身売買ルートになっていることは良く知られている。

 ミャンマー西部のラカイン(Rakhine)州では2012年以降、多数派の仏教徒と少数派でイスラム教徒のロヒンギャ人の対立による騒乱を避けようと、数千人のロヒンギャ人が地元を離れた。国連(UN)はロヒンギャ人を、「世界で最も虐げられている少数民族の一つ」としている。(c)AFP/Anusak KONGLANG