ウイグル住民「中国警官隊がデモ隊を射殺」、昨年7月の事件めぐり証言
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【5月1日 AFP】恐ろしく暴力的な出来事が、エリシュク(Elishku)で起きた。分離独立を主張する組織による攻撃なのか、それとも当局による市民虐殺なのか。答えは、イスラム教徒が多数を占める中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)を悩ます闘争や当局による鎮圧、相反する主張などで覆い隠されている。
中国当局によると、2014年7月に過激派集団がカシュガル(Kashgar)地区ヤルカンド(Yarkand)県エリシュクの警察署を襲撃し、住民と「テロリスト」合わせて96人が死亡した。一方、外国メディアの取材に初めて応じた住民らは、政府による新疆ウイグル自治区への弾圧に対し抗議行動を起こした数百人が、残酷なやり方で鎮圧されたと話している。
抗議の際、妊娠中だった妻と共に自宅で身を潜めていたマームティ(Mahmouti)さんは、「抗議運動に加わった人は皆、死んだか、投獄された。あれ以来、消息が分かる人は誰もいないし、どこにいるのか誰も知らない」と語った。
この事件以降、さまざまな主張が飛び交っていたが、新疆ウイグル自治区に関する情報を独自で確認するのは困難だった。AFPは外国メディアで初めて、現地での取材を行った。
住民たちの証言によると、くわや斧などの農具を手に、500人を超えるウイグル人が、突撃銃で武装した警官隊の元へと向かった。マームティさんは、警官隊が群衆に「下がれ」と命じ、そのすぐ後に発砲が数時間、断続的に続いたのを聞いたという。
「あの日に外に出ていった人は誰も戻ってこなかった」。報復を恐れ名字を隠して取材に応じた農家のユスプさんは、こう語った。「大混乱だった。多くて1000人が消えたかもしれない」
抗議行動を起こしたのは、イスラム教を信仰するトルコ系少数民族のウイグル人。文化的には、漢民族が多数を占める中国よりも中央アジアとの共通点を多く持つ。10年の国勢調査によると、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の割合は46%。1953年の時点では75%だった。
資源が豊富な新疆ウイグル自治区はロシアなどに支配された時代や、独立の動きがみられた時代もあったが、1800年代終わりからは、おおむね中国の統治下にある。近年は暴力事件が頻繁に起きている。
中国政府は、新疆ウイグル自治区などでの暴動について、海外の組織とつながりを持ち、分離主義を掲げるイスラム教徒のテロリストによるものだと断定。人権団体は、暴動の背景には当局による文化的、宗教的な抑圧があるとしている。