【4月30日 AFP】世界初の原爆を米軍のB-29爆撃機「エノラ・ゲイ(Enola Gay)」で日本に投下する極秘任務の遂行中に操縦士によって書かれた日誌の複製が29日、米ニューヨーク(New York)でオークションにかけられ、5万ドル(約596万円)で落札された。

 オークションを開催した英競売大手ボナムズ(Bonhams)によると、同日誌の複製は、同機の副操縦士だったロバート・ルイス(Robert Lewis)氏が1945年、当時の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)科学部編集者の依頼を受けて作成したもの。鉛筆で描いたキノコ雲のスケッチなども含まれている。

 オリジナルの日誌は、ルイス氏が1945年8月6日に広島に往復した際に書かれた。同極秘任務の公式説明は予定されていなかったため、父母に宛てた手紙を装ったという。

 同日誌の中でルイス氏は、「これは、人類がこれまで可能と考えてきた経験を超えている。クルー全員がそう感じているに違いない」、「理解するのはまったく不可能のようだ。一体我々は何人の日本人を殺したのだろう?」と書き、「正直言って、このことを説明するために言葉を探しているような感じだ。神よ、我々はなんということをしてしまったのか?」と心情を吐露している。

 オリジナルの日誌は、競売大手クリスティーズ(Christie's)が2002年に開催したオークションで、39万1000ドル(約4653万円)で落札されている。

 ただ、今回のオークションでは、1945年のドイツ降伏命令やルイス氏の日誌2冊といった高額商品の売却が成立しなかった。ルイス氏の日誌の推定落札価格は15万~20万ドル(約1785~2380万円)とされていた。(c)AFP/Jennie MATTHEW