日本企業の謝罪の流儀「お辞儀考」
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【5月1日 AFP】もしも、あなたが日本でファストフード・チェーンの社長で、自社のフライドポテトから人の歯が発見されたら、そのダメージをどう修復するだろう?深々と頭を下げて、お辞儀をするのだ。
日本マクドナルドホールディングス(McDonald's Holdings Japan)のカナダ人社長サラ・カサノバ(Sarah Casanova)氏も今月、スキャンダルに見舞われた企業のトップたちが用いてきた、しっかり計画された脚本にならった。報道陣を前にしての幹部たちによる謝罪会見は、日本企業にとって必須の「舞台」だ。
第1幕 服は暗めの色に。厳しい表情で平謝りする。「残念」「誠に遺憾」といった言葉を適宜ちりばめる。
第2幕 深々と頭を下げる。正しい角度を作れるよう体の柔軟性を保っておくこと。素人に見えないように。
第3幕 高級車の購入は今年は忘れよう。一時的な報酬カットを行うか、ボーナスを忘れなければならない。幹部も同様。
第4幕と第5幕 さらに状況に応じて辞任するか、引退して自分に替わる新たな最高経営責任者(CEO)を置く。さらなるスキャンダルを避けるために徹底改革を約束する。
これはチームのためにリーダーが打撃を被るという広範にみられる文化現象の一部だと、明治大学国際総合研究所(Meiji Institute for Global Affairs)の客員研究員、奥村準(Jun Okumura)氏は述べる。お辞儀は体の構造上可能な限り直角に近い方が良いという。かつて薬害エイズ事件の際、ある製薬会社の幹部たちは、膝をついて鼻が床につくほど頭を下げるという「伝説レベル」の謝罪で有名になった。
日本大学(Nihon University)で危機管理などを専門とする福田充(Mitsuru Fukuda)教授は、テレビやソーシャルメディアによって、視覚的合図に敏感な日本の世論を納得させることはいっそう重要になっていると指摘する。「事実」が重要とされる欧米とは違い、日本のジャーナリストたちは「トップの謝罪」に焦点を当てるという。
ビジネス・コミュニケーションの専門家、茂木康有(Yasuyuki Mogi)氏は、まずは謝罪の言葉がなければ、誠実さに欠けると多くの日本人は感じるという。