【4月28日 AFP】日米両政府は27日、新たな防衛協力の指針(ガイドライン)の内容を明らかにした。中国の台頭に対する懸念が広がる中、より積極的な世界規模での役割を自衛隊に与える歴史的な動きとなった。

 今回改定される新ガイドラインの下では、米軍が第三国の脅威にさらされた場合、日本も米軍を支援できるようになる。例えば中東で行われる作戦に日本が掃海艇を派遣することも可能になる。

 この新ガイドラインは、米側からジョン・ケリー(John Kerry)国務長官とアシュトン・カーター(Ashton Carter)国防長官、日本側から岸田文雄(Fumio Kishida)外相と中谷元(Gen Nakatani)防衛相がニューヨーク(New York)のホテルで協議に臨んだ後に発表された。

 関係者らは、この新指針は中国に狙いを定めたものではないとしているが、南シナ海(South China Sea)や東シナ海(East China Sea)の係争海域を支配しようとする中国の動きに対する懸念がますます強まっているのは事実だ。一方で北朝鮮については、同域におけるもう一つの緊張の原因になっていると名指しした。

 ケリー国務長官は、問題になっている尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)について、米国は疑いなく日本の施政権下にあると認識していると強調。「日本の安全保障を引き続き堅固に保ち、尖閣諸島を含む日本の領土を守っていくコミットメントを維持する」決意を改めて示した。

■歴史的な変革

 ケリー国務長官はニューヨークのホテルで開いた共同記者会見で、「きょうわれわれは日本の防衛能力を、自国領土だけでなく、必要に応じて米国やその他の同盟国の領土にも広げることで一致した」として、「これは歴史的な会合だ。われわれ2国の防衛協力関係の歴史的な変革だ」と述べた。

 また中谷防衛相は、前回ガイドラインが改定された1997年以降、日米両国が置かれている安全保障環境は劇変したと指摘。新ガイドラインは日米同盟の今後10年、さらにその先の青写真を描くものだと語った。

 再改定された新ガイドラインには、昨年安倍晋三(Shinzo Abe)内閣が「集団的自衛権」の行使を容認する形で憲法解釈を見直したことが反映されている。

 カーター国防長官は、この新指針により地理的な制約が撤廃され、日米協力体制の「焦点が一部地域限定から世界全体に」移行したと述べ、これは「1997年以降の世界の変容を鑑みれば極めて妥当」という認識を示した。(c)AFP/Jo Biddle/Dan De Luce