【4月20日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は19日、リビアで拘束したエチオピア人のキリスト教徒約30人を「処刑」したとする動画をインターネット上に公開した。

 29分間の動画には、戦闘員らが2グループを拘束している様子が写っており、字幕には「敵のエチオピア教会の信者ら」と記されている。

 動画に登場した黒ずくめの覆面の戦闘員は、拳銃をかざしながら、イスラム教へ改宗しなければ殺害すると脅迫。その後、海辺のグループと砂漠のグループの映像が交互に切り替わり、海辺では12人前後の男性が斬首され、砂漠では少なくとも16人が頭を撃ち抜かれる。

 拘束された人々の身元や、殺害された正確な人数は明らかになっていない。殺害前にはシリアのキリスト教徒とする人々が写され、イスラム教に改宗するか「特別税」を支払うかの選択肢が与えられたこのグループは納税を選んだとしていた。

 この動画にはISメディア部門のロゴが入っており、今年2月にリビアの海岸でエジプトのキリスト教の一派であるコプト教の信者21人が斬首された場面を写したものなどの過去のIS動画に似ている。

 エチオピア政府はISによる行為を非難した上で、在エジプトのエチオピア大使館が、犠牲者らが本当にエチオピア人かどうかを確認するため動画を検証しているとしている。

 ISはこれまでにも、キリスト教徒やイラクのヤジディー教徒といった少数派を標的とした残虐行為に及んでおり、イスラム教徒が大半を占める国で弱い立場に置かれているこうしたコミュニティーの行く末を案じる声が広がっている。(c)AFP