【4月19日 AFP】(一部更新、写真追加)リビア沖の地中海(Mediterranean Sea)で18日深夜から19日未明にかけ、多数の難民を乗せて欧州に向かっていた密航船が転覆し、700人以上が水死した恐れがあることが分かった。当局が19日、発表した。地中海で起きた中では過去最悪となったこの海難事故を受け、欧州連合(EU)に対策を求める声が高まっている。

 生存者と犠牲者の捜索を取り仕切るイタリア沿岸警備隊によると、これまでに救助された人数は28人にとどまっている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、生存者の証言から、全長20メートルの漁船には転覆した際、700人ほどが乗っていたとみられることが分かっている。UNHCRのカルロッタ・サミ(Carlotta Sami)報道官は、「地中海で発生した中でも最悪の大虐殺を目にしているようだ」と語った。

 イタリア・シチリア(Sicily)島カターニア(Catania)の検察当局によると、ヘリコプターで同島の病院に搬送されたバングラデシュ人生存者は、船には950人が乗っており、うち200人が女性で、子どもも50人近くいたと話している。

 この事故は回避可能だった悲劇とする見方も多く、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王などから欧州首脳に対し、対応を求める声が改めて強まっている。イタリアは事故を受け、EU首脳の緊急会合を要請。各国外相は20日にこの問題を協議する予定だ。複数の非政府組織が怒りを表明しており、中でも国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は今回の惨事を予測可能だったはずの「人災」と表現して非難している。(c)AFP/Angus MACKINNON