アップルウオッチ、「グランス・ジャーナリズム」を切り開くか
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【4月19日 AFP】数百万個売れると予想されている米アップル(Apple)の腕時計型端末「アップルウオッチ(Apple Watch)」の発売が近づき、各ニュース会社はその極めて小さな画面の一部に溶け込むための努力を続けている。
ニュース・ビジネスの世界では「グランス・ジャーナリズム」という言葉が生まれている。「グランス」とは「ちらりと見る」という意味だ。身に着けて使う「ウェアラブル端末」をリードするとみられているアップルウオッチは、デジタル時代に読者とつながりを持とうとするニュース業界の新しい可能性を広げるデバイスになるものと期待されている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、同社のアップルウオッチ用アプリは「3つの大陸にいる編集者たち」が最新のニュースを伝える「報道の新しい形」を提示するとしている。記事をアップルウオッチからiPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)に移して読むことも可能だという。
一方ヤフー(Yahoo)は、主なニュースの要約を1時間ごとに更新するニュース・ダイジェスト、スポーツニュース、天気予報、そして香港(Hong Kong)に特化したニュースを伝えるアップルウオッチ用アプリ4種を提供する予定。CNNと米公共ラジオのナショナル・パブリック・ラジオ(National Public Radio)もアップルウオッチ用のアプリを提供しており、他社もこれに追随すると予測されている。
メディア専門家の間では、新しいテクノロジーによって消費者に提供される短いニュースが増えるとみられている。
国際メディアコンサルタント企業ガルシア・メディア(Garcia Media)のコンサルタントで、メディアの専門教育研究機関ポインター・インスティチュート(Poynter Institute)の教員も務めるマリオ・ガルシア(Mario Garcia)氏は自身のブログで、「私たちは今、『アット・ア・グランス・ジャーナリズム(ちらりと見るジャーナリズム)』の時代に入ろうとしている」と述べた。
デンマークのオーフス大学(Aarhus University)と共にスマートフォン向けニュースの研究プロジェクトにも参加しているガルシア氏は、アップルウオッチが提起する新しい可能性に「興味をかき立てられている」と言う。
ガルシア氏は、「混雑したニューヨークの地下鉄でiPhoneを取り出すより腕時計をちらりと見る方が簡単だ。人々は時計でニュースの見出しをちらりと見て、どの記事を読むか決めるようになると予測している」と語った。