【4月18日 AFP】続々と押し寄せる難民への対応にイタリアが苦慮している。難民を乗せた船でキリスト教徒とイスラム教徒の衝突による殺人事件まで発生し、イタリア政府の悩みは深まるばかりだ。

 最近の6日間に地中海(Mediterranean Sea)で救助されイタリア国内に収容された難民は1万1000人を超えている。同国の沿岸警備隊は、17日にはさらに数百人が救助・収容されるという見通しを示した。

 難民船の出発地点になっているリビアの治安悪化に加え、春になり気候が穏やかになったことも相まって、難民の数はこのところ大幅に増えている。

 イタリアの援助団体が17日に明らかにしたところによると、90人を乗せて2日間漂流していたゴムボートで女性1人が死亡し、生後6か月の乳児1人を含む15人が負傷しているのが見つかった。

 国連(UN)の難民支援機関によると、死亡した女性は、欧州への不法入国を目指す難民が寝泊りするリビアの収容所でガスボンベの爆発により重度のやけどを負ったものの、そのまま船に乗せられていたという。17日には別の船から女性45人と子ども23人を含む300人以上が救助された。

 一方、難民を乗せてリビアから欧州に向かっていた船で宗教のことで口論になり、キリスト教徒12人を海に突き落としたとして逮捕されたコートジボワール、セネガル、マリ出身のイスラム教徒15人について、シチリア(Sicilia)島の港湾都市パレルモ(Palermo)の検察当局は裁判所に勾留延長を求めた。

 イタリアのマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相は17日、訪問先の米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で行ったバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領との共同記者会見で「現時点での問題はリビアの国内情勢だ」と述べ、リビアの治安が改善されない限り、地中海を渡って欧州に押し寄せる難民の流れは止まらないとの見方を示した。(c)AFP/Olivier Baube, Ljubomir Milasin