【4月17日 AFP】フランスにおける行政裁判所の最上級審である国務院は16日、仏南東部グラース(Grasse)のパティスリーが長年、製造・販売してきた菓子が「人種差別的」であるとして、店のショーウインドーに陳列することを禁じた下級審の判決を覆す決定を下した。

 裸の男女をかたどったガナッシュをチョコレートでコーティングした「男神」と「女神」の菓子は、この店で約15年前から販売されてきた。しかし、このケーキが人種差別的だとの苦情を住民から受けた、同国の著名なアフリカ・カリブ系権利団体連合「CRAN」が、「アフリカ系の人々たちを傷つける」とこの菓子を批判し始めたことから騒動に発展。CRANは先月、グラース市長にショーウインドーでの陳列をやめるよう求めたものの、聞き入れられなかったと主張し、訴えを起こしていた。

 訴えに対して下級審は先月末、陳列を禁止する判断を示した一方で、店側に「悪意はなかった」として、販売自体は認める判断を示した。さらに市長に対しては、問題のカップケーキの即時撤去をパティスリーに徹底させるよう求め、撤去の遅れ1日につき500ユーロ(約6万5000円)の罰金を設定した。さらに市に対し罰金1000ユーロ(約13万円)をCRANに支払うよう命じた。

 裁判所は問題の菓子について、「有色の男女がグロテスクかつわいせつに」表現されており、「人間の尊厳、特にアフリカ系の人々の尊厳を傷つけるものだ」との見解を示していた。(c)AFP