【4月16日 AFP】(一部更新)メキシコ当局は15日、産業用X線装置に使われる危険な放射性物質が盗難被害に遭ったことを受け、国内5州に注意を喚起する通知を行った。

 メキシコ内務省の声明によると、南部タバスコ(Tabasco)州の町カルデナス(Cardenas)で13日、がん治療や金属の溶接部の検査装置に使われる放射線源「イリジウム192」が入った容器が、載せられていたトラックから盗まれた。

 内務省は、タバスコ、カンペチェ(Campeche)、チアパス(Chiapas)、オアハカ(Oaxaca)、ベラクルス(Veracruz)の5州の市民保護当局や連邦警察、陸海軍に事件を通知。

 内務省は、適切な防護服を着けなかった場合、「この放射線源は短時間(数分か数時間)の接触や取り扱いで永久的な害を及ぼす可能性がある」と警告。「これだけの量の無防備な状態の放射性物質の近くに数時間から数日いれば、死に至る恐れもある」としている。

 メキシコでは2013年12月にも、首都メキシコ市(Mexico City)近郊で、放射線治療に使われる強力な放射性物質「コバルト60」が、積載されていたトラックごと盗まれる事件が起きている。トラックを盗んだ男らは積み荷について知らなかったとみられ、逮捕後に入院。放射性物質は無事回収され、死者は出なかった。

 さらに今年2月には、盗難されていた工業用放射性物質の輸送トラック3台が発見された。同様の事件は14年7月にも起きているが、いずれの事件でも民間人に被害は及んでいない。(c)AFP