米・ベネズエラ首脳、初めて言葉交わす 米州首脳会議
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【4月12日 AFP】中米パナマの首都パナマ市(Panama City)で開かれた米州首脳会議(Summit of the Americas)で11日、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領とベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が初めて言葉を交わす一幕があった。米当局者らは、両首脳が会議の合間に数分間会話したとしている。両国関係の緊張の高まりを背景に、オバマ大統領はマドゥロ大統領に対して、米国がベネズエラに脅威を与える意図がない点を強調した。
オバマ米大統領はこの日、冷戦時代から数十年にわたった敵対関係の終結に向けた努力の一環で、キューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長と歴史的な首脳会談を行った。ホワイトハウスのキャサリン・バーガス(Katherine Vargas)ヒスパニック・メディアディレクターによると、オバマ大統領はマドゥロ大統領との短時間の会話で、ベネズエラ政府と野党勢力の平和的な対話を支持すると表明。また、米国の関心はベネズエラに脅威を与えることではなく、ベネズエラをはじめとする中南米の民主主義や繁栄を支援することにあるという従来の立場を改めて示したという。
今回の会議は米・キューバの緊張緩和が進むなか、米国と中南米諸国の関係が新時代を迎えたことを示す場として35か国が参加して開かれたが、開幕前にマドゥロ大統領は波乱材料とみなされていた。オバマ米大統領は今年3月、野党勢力の弾圧に絡んでベネズエラの政府高官7人に制裁を発動する大統領令を出した。マドゥロ大統領はこれに反発して解除を要求し、制裁に反対する1300万人余りの署名を集めていた。
マドゥロ大統領は、米政府がベネズエラの野党勢力を支援してクーデターを画策し、大統領官邸を標的とした爆破未遂事件に関与していた疑いがあると主張。米政府は事実無根だとしてこの主張を否定している。会議に先立ち米ホワイトハウスは緊張緩和に努め、制裁文書の記述通り、国家安全保障面でベネズエラが脅威だとの認識は余りないと説明していた。
会議でマドゥロ大統領は、オバマ米大統領に敬意を表するが信用はしないなどと語り、ベネズエラを脅かしているのは米大統領だとする主張を展開した。マドゥロ大統領はまた、自身が2年前に大統領に就任して以来、オバマ大統領との接触を公式、非公式の両面で模索してきたが、「私が送ったメッセージに(オバマ大統領は)一度も回答しなかった」と述べた。アルゼンチンとボリビア、エクアドルの左派政権の首脳らは、マドゥロ大統領への支持を表明。オバマ大統領はコロンビアの大統領との会談を理由に、マドゥロ大統領が発言する前に離席していた。(c)AFP/Maria Lorente