米アラバマ州で死刑判決受けた男性が無罪に、30年ぶりに釈放
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【4月4日 AFP】米アラバマ(Alabama)州バーミングハム(Birmingham)のファストフード・レストランのマネジャー2人が射殺された1985年の強盗殺人事件で死刑判決を受けて収監されていた男性が無罪となり、この男性は3日、約30年ぶりに釈放された。
釈放されたのはアンソニー・レイ・ヒントン(Anthony Ray Hinton)氏(58)。裁判所がヒントン氏の全ての罪状について無罪とした翌日、支援者たちが歓声を上げる中、裁判所から出てきたヒントン氏は涙を流し、集まった友人や親戚たちと抱き合った。
感極まったヒントン氏は、「太陽が輝いている」と喜びを語り、「彼らはなにがなんでも無実の私を死刑にしようとした。私は30年間も死刑囚として収監されるべきではなかった」と話した。
1986年12月の公判で示された弾道学上の証拠が信用できないと判断されたことが、ヒントン氏の釈放につながった。
同州の専門家は、犯罪で使用された銃弾がヒントン氏の母親から押収された銃から発砲されたものだと証言したが、その後行われた調査で、その証言内容が疑わしいという結果が出た。
その後も裁判は長期間にわたって続き、昨年ついに連邦最高裁がヒントン氏は適切な弁護を受けていなかったと判断したことで被告側は大きな勝利を収めた。ヒントン氏の法廷弁護士が証人として雇った専門家は、検察側の弾道学上の証拠に対して適切に反証できるだけの専門知識を持っていなかったという。
ヒントン氏は釈放後の記者会見で涙を拭いながら、「彼らは銃をきちんとテストすればいいだけだった。力があると思っている人々は、自分たちは法よりも上にあると思っている。しかし私を死刑囚監房に送った人々は、いずれ神に申し開きをすることになるだろう」と話した。