バンクシーがガザに残した作品、「だまされて」2万円で売却
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【4月2日 AFP】世界的に知られる英国の覆面グラフィティーアーティスト、バンクシー(Banksy)がパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)でイスラエル軍の空爆で破壊された家々のがれきに描いた作品の1つが、わずか2万円程度で売却されたことが分かった。この作品が描かれた家の持ち主は「だまされた」と話している。
バンクシーは2月末、ガザ地区の家々の壁に描いた3点の作品を映した動画を公開した。今回売られた作品はその中の1つで、ギリシア神話に登場する女性ニオベ(Niobe)が嘆いている姿が描かれた金属製のドア。このドアは、ラビエ・ハムドゥナ(Rabieh Hamduna)さん(33)の自宅のがれきの中にぽつんと残されていたものだ。
イスラエル軍の攻撃で自宅を失ったハムドゥナさんがAFPに語ったところによると、バンクシーがドアに絵を残してから1か月もしないうちに「ビラル・ハレド(Bilal Khaled)」と名乗る若い男が訪ねてきた。男は、ある通信社の写真記者だと主張。「一連の壁画は通信社の企画で描かれたものなので、回収に来た」と語ったという。
バンクシー作品は、競売に掛けられれば100万ドル(約1億2000万円)以上もの高値で取り引きされるほど人気が高い。だが、男はハムドゥナさんに700シェケル(約2万1000円)を渡し、ドアごと作品を持ち去った。
「彼は私をだましたんだ。そんなに高価な作品だとは知らなかった。家は破壊されたのに、今も家賃を払い続けていて、金が必要だった。だから絵を売ることに同意したんだ」と語ったハムドゥナさんは、金のためでなく、皆に見てもらうために作品の返却を求めている。「作品を展示して、世界中に私たちの苦しみを知ってもらいたい。バンクシーがそう願って描いた作品なのだから」 (c)AFP/Mai Yaghi