世界を席巻するブラジル食品大手、中国需要が後押し
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【4月3日 AFP】中国での需要の高まり、国内の消費力の拡大、そして安い土地と労働力を武器に、ブラジル企業が世界の食品市場でシェアを拡大している。米食品大手のHJハインツ(HJ Heinz)とクラフト・フーズ(Kraft Foods)の合併も、その一例だ。
ハインツはブラジルの資産家ジョルジ・パウロ・レマン(Jorge Paulo Lemann)氏の投資会社3Gキャピタル(3G Capital)と、米資産家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)が共同所有する。クラフトと合併後の新会社は北米3位の食品・飲料大手となり、その株式の51%を3Gキャピタルがバークシャーと共に握る。
一方、この合併発表に先立ち、ブラジルの食肉大手JBSは売上高でスイス大手ネスレ(Nestle)に次ぐ世界2位の食品大手となった。
また、鶏肉輸出で世界最大手のブラジルフーズ(BRF)は昨年11月、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ(Abu Dhabi)に総工費1億3000万ユーロ(約170億円)の生産工場を開設した。
■ブラジルの強みとは
これらのブラジル食品大手は沿革こそさまざまだが、共通点が1つあるとブラジル人アナリストらは指摘する。欧米のアグリビジネス大手が国から多額の助成金を得て事業を拡大する中で、苦労しながら自力で経営を効率化してきたという点だ。
「土地と労働力が低コストで手に入ることが、ブラジルの食品企業にとって重要な競争力となっている」と、リオデジャネイロ州立大学(Rio de Janeiro State University)のマリア・デ・アルブケルケ・ダビド(Maria de Albuquerque David)教授(経済学)は説明している。
3Gキャピタルを率いるレマン氏は、飲料ビジネスで一大帝国を築き、ブラジル長者番付トップにまで上り詰めた。同氏が立ち上げた会社は買収を繰り返し、今や世界のビール市場の約20%を占める飲料大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch InBev)として、「バドワイザー(Budweiser)」「コロナ(Corona)」などのグローバルブランドを確立している。
また、レマン氏の3Gキャピタルは米ファストフード大手バーガーキング(Burger King)も買収している。
こうしたブラジル食品大手の活況を下支えているのは、中国で高まる牛肉や大豆の需要だ。いずれもブラジルが世界2位の生産量を誇る。加えて、ブラジル国民の消費力も増大していることが、業績を大きく伸ばす要因になっている。(c)AFP/Hélène SEINGIER