【3月31日 AFP】米インディアナ(Indiana)州で先週成立した「宗教の自由」保護を定めた法律について、宗教的見地を理由に事業者が同性愛者へのサービス提供を拒否することを認める法律だとの批判が、同性愛者の権利を支持する著名人や企業から相次いでいる。

 同州で26日に成立した「上院法101号」は、米国民の信仰実践を阻む「著しい負担」を科すことを禁じた1993年の連邦法「宗教的自由回復法(Religious Freedom Restoration Act)」に沿った内容で、他にも18州が同様の州法を施行している。

 7月1日に施行される同法には同性愛者に関する記述はなく、同法を成立させた共和党のマイク・ペンス(Mike Pence)州知事は、もしこれが差別的なものであれば法案に署名はしなかっただろうと述べている。

 だが、同法については、同性愛に反対する地元事業者らがLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の顧客へのサービス提供を拒否することを事実上合法化するものだとの批判が出ており、多くの大企業が懸念を表明している。

 同性愛者であることを公表している米アップル(Apple)のティム・クック(Tim Cook)最高経営責任者(CEO)は29日の米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)電子版への寄稿で、「全米の各州で非常に危険なことが起きている」と警告。一連の法律は「わが国が礎としているまさしくその理念に反する」もので、差別を助長し平等をむしばむものだと強く非難した。

 米マイクロブログ大手のツイッター(Twitter)もクック氏に同調し、これら州法は「差別を法制化している」と非難。公共政策に関するアカウント「@policy」上に「こうした法律は不当で、ビジネスにも有害だ。わが社は#EqualityForAll(万人の平等)を支持する」と投稿した。

 米クラウドコンピューティング企業「セールスフォース(Salesforce)」は、インディアナ州への投資を削減すると発表。また、昨年は5万6000人が訪れた世界最大のアナログ・ゲーム・イベント「Gen Con(ジェンコン)」は、同州の州都インディアポリス(Indianapolis)での開催を中止する可能性を示した。

 さらに、今週インディアナポリスで行われるNCAA男子バスケットボールトーナメント決勝の主催者で、影響力の大きい全米大学体育協会(National Collegiate Athletic AssociationNCAA)も、学生選手や協会職員への同法の影響を「特に懸念」していると表明した。

 芸能人らもソーシャルメディア上で怒りの声をあげている。俳優アシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)さんは、同法を反ユダヤ主義になぞらえるコメントを投稿。歌手のマイリー・サイラス(Miley Cyrus)さんは、ペンス知事を罵る言葉を投げつけた。(c)AFP