【3月30日 AFP】中国では当局の監視対象とならずに自由にできる活動は限られている──「広場舞」もじきに監視の対象となりそうだ。

 中国では近年、街の一角に集まり、グループで踊る中高年の女性たちが増えている。そこで踊られるのは広場舞と呼ばれるダンスだ。

 多くの場合、グループの参加者らは、同じ服を着て、扇子などの小道具を手に、振り付けられたダンスを一斉に踊る。集まる時間は夕食時だ。ラジカセから流れる音楽や時にはライブ演奏に合わせて踊ることもある。

 しかし、国家体育総局(General Administration of Sport)と文化省(Ministry of Culture)が決定を下せば、こうしたダンス活動は厳しく規制されることになるだろう。

「広場舞は中国文化の集団的側面を表している。しかし現在、参加者たちの過剰な熱意が、騒音や場所の問題を引き起こしている」と国家体育総局の大衆体育局の担当者は国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)に語った。「だから私たちが国家的な基準と規制で指導する必要がある」

 同紙によると、中国当局は「専門家委員会」を組織して、国家として認可した12の振り付けを完成させた。そして「今後5か月で31の省と行政区に導入する」としている。音楽の音量の他、広場舞を行うことのできる時間や場所については順次決定する予定だという。

 中国では、広場舞についての話題が盛り上がりをみせている。メディアでも多く報じられ、都市部では夜遅くまで聞こえてくる音楽が周辺の環境を乱しているとして抗議の声も上がっている。2013年には、湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)市で、腹をたてた近隣住民らがグループに向けてコインや石を投げるという事態が起きた。

 昨年には、中国の中高年女性たちが仏パリ(Paris)にあるルーブル美術館(Louvre)の前で広場舞を踊り、やり過ぎではないかとの意見が出た他、混雑した電車の中で広場舞を踊ろうとする女性らの動画が拡散したことで、さらなる物議を醸すことになった。

 同紙には、「広場舞に対する批判的なコメントはすべて、公益への配慮なしに見境いなく踊っていることに向けられている」と指摘するフィットネストレーナーで広場舞に詳しい専門家の意見も掲載された。同ドレーナーは「国家的な規制を通じて、広場舞がどう踊られるべきか示されるだろう」と述べている。(c)AFP