【4月4日 AFP】ロシア人元宇宙飛行士のアレクセイ・レオーノフ(Alexei Leonov)氏は、人類初の宇宙遊泳を行ってから50年が過ぎた今も、カプセルを出て宇宙空間に漂った瞬間のことを鮮明に覚えている。

「私はゆっくりと外に身を乗り出し、宇宙船を離れた」──80歳になる現在もモスクワ(Moscow)市内の銀行で元気に働いているレオーノフ氏はAFPに語った。「漆黒の一面に星が見え、太陽はまぶしすぎて耐えられなかった」

 5メートルの命綱で宇宙船につながれながら、レオーノフ氏は眼下にくっきりと広がる故郷・地球の地形に目を見張った。「完全な円形の地球、コーカサス(Caucasus)やクリミア(Crimea)、ボルガ(Volga)川を撮影した。とても美しかった」と同氏は振り返る。

 1965年3月18日のこの歴史的瞬間は、冷戦時代に敵対していた米国と旧ソビエト連邦が、宇宙進出競争を展開していた当時の出来事だった。米国が独自に宇宙遊泳の準備を進める中、旧ソ連のレオーノフ氏と操縦士パーベル・ベリャーエフ(Pavel Belyayev)大佐が搭乗した宇宙船は、500キロメートル上空の地球周回軌道に投入された。2人にはそれぞれAlmaz-1、Almaz-2のコードネームが付けられていた。

 レオーノフ氏のミッションはラジオやテレビで生中継され、何百万という人々の関心を集めた。宇宙船を出てから数分後、レオーノフ氏は、ベリャーエフ氏が地上との交信で「こちらAlmaz-1。人類が宇宙空間へ出て行った」と語るのを聞いた。続いて著名ラジオ司会者のユーリ・レビタン(Yuri Levitan)氏が、これを復唱しているのを耳にした。レオーノフ氏は「誰のことだろう」と思ったという。