【3月29日 AFP】ポーランド軍検察は27日、2010年にレフ・カチンスキ（Lech Kaczynski）大統領（当時）夫妻を乗せた政府専用機がロシア西部で墜落した事故について、機長の操縦ミスが原因だったとする一方で、ロシアの航空管制官2人にも事故を引き起こす要因となる行動があったとする見解を明らかにした。

 深い霧の中をロシア西部スモレンスク（Smolensk）の空港に向かって飛行中だったポーランド政府専用機は、着陸間近に墜落。大統領夫妻とポーランドの中央銀行総裁、軍参謀総長をはじめとする96人が死亡した。

 ポーランド軍検察のトップ、イレネウシュ・シェロング（Ireneusz Szelag）氏は報道陣に対し、管制官の1人には航空交通に危険を及ぼした直接的な責任があるほか、別の1人には意図せず航空事故を引き起こした疑いがあると発言。2人に裁きを受けさせるため、ポーランドは必要な措置を講じると述べた。

 ただ、2人の氏名は公表されておらず、同氏はそれ以上の詳細についても言及しなかった。軍検察はこの事故に関する捜査期間を、今年10月10日まで延長している。

 一方、ロシア当局はこれまでのところ、事故原因の究明に向けた調査は継続中だとしてポーランド当局への機体の残骸の引き渡しを拒否している。

 2010年4月10日に墜落したポーランド政府専用機、ロシア製のツポレフ（Tupolev）154には、1940年に旧ソ連のカチン（Katyn）の森でポーランド兵数千人が旧ソビエト連邦の秘密警察に殺害された「カチンの森事件」の追悼式典に出席するポーランド政府の代表団が搭乗していた。ロシア政府はこの事件について、1990年まで旧ソ連の関与を否定していた。(c)AFP