学校に行けない子どもたち、ナイジェリアの「時限爆弾」に
このニュースをシェア
【3月30日 AFP】ナイジェリア北部の最大都市カノ(Kano)。ベロ・シェフ君はまだ12歳だが、苦しい家計を助けるため、照り付ける太陽の下、渋滞中の車の運転手を相手に袋入りの水を売っている。
こうした子どもはベロ君だけではない。国連(UN)によると、アフリカ最大の人口と経済を誇るナイジェリアでは、学校に通っていない子どもの数が約1050万人と、世界で最も多い。
イスラム教徒が住民の多数を占めるナイジェリア北部では、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」と政府軍との間で6年間にわたり続く戦闘により、学校が閉鎖されたり、破壊されたりしているため、多くの子どもたちが学校に行けない状況にある。
だが、ボコ・ハラム掃討作戦における成功が最近続いていることを考慮したとしても、まるまる一世代の子どもたちが教育を受けずに育つことを防ぐための緊急措置をナイジェリア当局は講じる必要があると、専門家らは訴えている。
北東部ボルノ(Borno)州で小学校の再開に取り組むモハメド・ドンゲル(Mohammed Dongel)氏は「早急に対策を取らなければ、今後10年でボコ・ハラムの行動は子どもの遊びのようになってしまう」と危機感をあらわにした。また、「学校へ行けない子どもたちは悪事に引き込まれやすい」と述べ、貧困や教育の欠如から、多くの人々がボコ・ハラムに取り込まれており、すぐに手を打たなければ「時限爆弾の上に座る」状態になると訴えた。
「世俗的な」教育を否定するボコ・ハラムは、頻繁に学校を襲撃し、生徒や教師が犠牲となっている。
アフリカ保健・人間・社会開発情報サービス(Africa Health, Human and Social Development Information Service)による最近の報告によれば、ナイジェリア北東部では6歳以上の男性のうち52.4%が教育を受けていない。女性ではこの割合は61.1%に上る。
最近までボコ・ハラムとの戦闘で身動きが取れない状況にあったナイジェリア政府軍が自警団のメンバーとして集めたのは、教育を受けておらず、仕事のない数百人の青少年たちだ。その多くが10代で、弓矢などの手製の武器やこん棒などで武装している。ボコ・ハラムの武装闘争の終了が宣言された時、彼らがどうなるのかは、悩ましい問題だ。
退役した軍人や公務員で作る組織「ボルノ年長者会議(Borno Elders Forum)」は、建物も人間も、立て直しには時間がかかると警告。人々を通常の状態に戻すことのできる「綿密な行動計画」が必要だとした上で、「心的外傷の克服には長い時間を要する」と述べた。(c)AFP