独機「意図的墜落」の副操縦士、パイロットが夢だった好青年
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【3月27日 AFP】ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)4U9525便を意図的に墜落させた疑いが持たれているアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)副操縦士(28)は、幼い頃から空を飛ぶことに強い憧れを持っていた。ジャーマンウイングスによる心理適性検査にも全て合格し、テロ組織とのつながりもなかったとみられている。
ルビッツ副操縦士はジャーマンウイングスに2年近く勤務しており、子どもの頃から飛行クラブに所属していた。ドイツ当局とジャーマンウイングス関係者、また近隣住民は、同機を墜落させた動機は思い当たらないと口をそろえている。
同副操縦士が少年時代から所属していた飛行クラブ「LSCウェスターバルト(LSC Westerwald)」の代表は、どこにでもいそうな人物だったと表現。AFPの取材に対し、「普通の青年で活動的な人生を送っており、異常な点は一切なかった」として、「腕利きのプロフェッショナル」と呼んだ。
同飛行クラブでは、フランスの捜査当局が副操縦士による意図的な墜落という新事実を発表する前日の25日、ウェブサイトに追悼文を掲載。そこには「彼は夢を実現することができた。今となっては命まで賭けた夢となった」と記され、10代で生まれて初めて操縦したのは小さなグライダーだったともつづられていた。
ルビッツ副操縦士はドイツ西部の町モンタバウアー(Montabaur)出身。町長がドイツ通信(DPA)に明かしたところによると、同町に両親と暮らしていた同副操縦士はまた、ジャーマンウイングスの拠点で、スペイン・バルセロナ(Barcelona)をたった同機の目的地だったデュッセルドルフ(Duesseldorf)にもマンションを持っていたという。
■「礼儀正しく人当たりが良い」
人口1万2500人の小さな町モンタバウアーの近隣住民の話では、ルビッツ副操縦士には交際していた女性がおり、2人でジョギングするのが好きだったという。また、別の場所に暮らしている弟がいるとしている。
閑静で清掃の行き届いた住宅街で、同副操縦士を知る人たちは報道を聞いてがくぜんとしたという。一人の男性(23)は、「信じられないし、信じたくない。心底衝撃を受けている」「時々見かけただけだが、いつも正義正しくて人当たりが良かった。かなり体を鍛えていて、頻繁にジョギングしていた」「うつや病気があったかどうかは分からないが、彼や家族が何か問題を抱えているという話は聞いたことがなかった」と語った。
■家宅捜索を実施
捜査当局は26日、ルビッツ副操縦士のデュッセルドルフとモンタバウアーの自宅2軒を家宅捜索した。デュッセルドルフ市検察は声明で、同市やその他の場所での家宅捜索は、状況を明確にする一助とするため「主に個人的な書類の発見と押収」を目指したものだと説明している。(c)AFP