【3月26日 AFP】土星の1日の長さは、10時間32分45秒であるとの最新の研究結果が25日、発表された。太陽系の内側から6番目の、輪を持つガス状巨大惑星に関する謎の解明をさらに進める成果だという。

 土星の自転周期は長年、科学者らの頭を悩ませてきた。土星表面には目印になる動かない物体が存在しないため、自転速度を容易に計測することができないことがその理由だ。

 自転周期のこれまでの計測では、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機ボイジャー(Voyager)に搭載の電波測定器を用いた結果は10時間39分22.4秒、土星探査機カッシーニ(Cassini)では10時間47分6秒という結果が得られていた。

 イスラエル・テルアビブ大学(Tel Aviv University)などの研究チームが今回発表した自転周期は、土星の重力場の測定に基づき、惑星の形状と密度に応じた補正を加えて算出したもので、論文の執筆者らは「これまでで最も正確」と考えられるとしている。

 研究チームはこの結果を検証するため、木星の自転周期に同じ測定手法を適用し、裏付けを得ているという。木星は、土星の隣にあるガス状の惑星で、自転速度の解明がすでに十分進んでいる。

 論文共同執筆者の一人、同大のRavit Helled氏は、AFPの取材に「土星の自転周期を正確に求めることは、土星大気の動態と内部構造の理解に関して重要な意味を持つ」と電子メールで述べた。

 同氏は、内部構造を理解することにより「ガス状巨大惑星の形成過程に関する重要な情報が得られる」としており、また最新の計測結果については、土星のコアがこれまで推定されていたより小さいことを示唆していると指摘した。

 今回の手法は将来、他の巨大惑星の自転周期を導出するために利用される可能性があるという。(c)AFP