臓器の違法取引禁じる国際条約、発効の見通し
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【3月25日 AFP】臓器の違法取引の取り締まりを目的とした国際条約への各国の調印が25日から始まる。同条約について支持国側は「史上初の試み」と称している。
欧州最高の人権組織、欧州評議会(Council of Europe)加盟国が起草した条文によると、生存、死亡にかかわらず、提供者から完全かつ自由な同意が示されないまま臓器を摘出することは、この協定により非合法となる。また条約は、臓器提供の見返りに金銭を受け取ることも禁止している。
トルビョルン・ヤーグラン(Thorbjoern Jagland)欧州評議会事務総長は24日、同条約は「(法律の)隙間を埋め、被害者に対する保護措置を整備する」ものとなる見通しと述べた。
世界保健機関(World Health Organisation、WHO)は、闇市場での臓器売買が年間約1万件行われていると推測。国際犯罪組織および絶望的な状況に置かれた被害者が関与しているケースも多いという。
25日にスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)で開催の臓器売買についての国際会議では、英国、スペイン、イタリア、トルコを含む14か国が条約に調印するとみられている。全ての国が批准可能となっているこの国際条約の発効には、少なくとも5か国の批准が必要となる。
同条約では、被害者への補償が考慮されているほか、臓器提供サービスの透明性と公平な利用機会の保証を目的とした予防的取り組みに重点が置かれている。臓器提供者を訴追するかどうかや、違法売買の共犯者とみなすべきかどうかに関しては、各国政府の判断に委ねられる。
25日に調印を行うとみられる国は上の4か国の他、アルバニア、オーストリア、ベルギー、チェコ、ギリシャ、ルクセンブルク、ノルウェー、モルドバ、ポーランド、ポルトガルの10か国とみられている。(c)AFP