【3月25日 AFP】(写真追加)ドイツ航空大手ルフトハンザ航空(Lufthansa)傘下の格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)の旅客機9525便が24日、フランス・アルプス(French Alps)の山深い場所に墜落し、乗客乗員150人全員が死亡した。フランスで発生した航空事故としては過去数十年で最悪の規模となった。

 墜落したのは、スペインのバルセロナ(Barcelona)発、ドイツ・デュッセルドルフ(Dusseldorf)行きのエアバス(Airbus)A320型機。墜落現場は山岳地帯で、救助活動は難航している。事故原因は完全な謎に包まれたままだが、当局はすでにブラックボックスを回収している。

 現場を上空から視察したという地元選出の国会議員クリストフ・カスタネール(Christophe Castaner)氏はツイッター(Twitter)に、「山あいにすさまじい光景。がれきと遺体しか残っていない」「恐ろしい―機体は完全に壊れている」と投稿した。

 政府のヘリコプターから撮影された映像によると、現場付近は雪がまばらに残る無数の岩石に覆われた急斜面で、人里離れた場所であることがうかがえる。

 ジャーマンウイングスは同機が8分間にわたって急降下したと発表しているが、仏航空当局はバルスロネット(Barcelonnette)のスキーリゾート付近に墜落した同機は遭難信号を出していなかったとしている。

 ベルナール・カズヌーブ(Bernard Cazeneuve)仏内相は、「ブラックボックスが発見され、調査担当者らに渡されることになっている」と発表した。

 仏気象関係者らは、「同機の飛行高度に雲はなかった」、風は「微風から弱風」程度、墜落を招くような乱気流も発生してなかったとしており、当時「穏やか」だった天候が墜落の要因になったとは考えにくい。

 ドイツを代表する航空会社ルフトハンザは、この墜落を「事故」と想定して対応に当たっている。ハイケ・ビルレンバッハ(Heike Birlenbach)副社長は、事故機が出発したスペイン・バルセロナのエルプラット空港(El Prat Airport)で記者団に対し、「他(の可能性)は臆測にすぎない」と述べた。

 ビルレンバッハ副社長によると、墜落した機体は製造から24年たっており、最後に通常の点検を実施したのは23日だったという。

 マニュエル・バルス(Manuel Valls)仏首相は、生存者はいないと発表した。同機には主にスペイン人とドイツ人の乗客144人と乗員6人が乗っていた。乗客の中には2人の乳児も含まれていたという。

 ドイツ当局によると、同機には学校の旅行で同機を利用したドイツ人の10代の生徒16人も搭乗していたという。出発地と目的地の空港には目に涙を浮かべた親族らが詰めかけ、搭乗者に関する情報を求めていた。

 フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は、25日に事故現場でドイツとスペインの両首脳に会う予定だとしている。(c)AFP/Daniel ORTELLI/Renaud LAVERGNE