【3月24日 AFP】南米アルゼンチンの密林の奥深くで、ナチス・ドイツの幹部らが第2次世界大戦(World War II)後の逃亡先として建設した隠れ家とみられる建築物を発見した考古学者が23日、この場所にはさらに暗い秘密が埋もれている可能性があると語った。

 ブエノスアイレス大学(University of Buenos Aires)都市考古学センターのダニエル・シャベルソン(Daniel Schavelzon)所長が先週末に行った発表は新聞紙面を賑わせ、ナチスの戦犯らが逃亡先としていたことで知られるアルゼンチンで、居心地の悪い記憶を呼び起こした。

 シャベルソン氏のチームは、3つの石造りの建造物から、建物に刻み込まれたかぎ十字の紋章や、ナチスのシンボルが刻印されたドイツの硬貨、そして「ドイツ製」と記された陶器の破片を発見した。

 だが、シャベルソン氏はAFPの取材に対し、調査はまだ始まったばかりで、周辺には草木が生い茂っているために「分析には何か月もかかる可能性がある」と説明。「まだ見つかっていない建物がある可能性もある」と述べた。

 建造物は、アルゼンチン北部のパラグアイとの国境そばにあるTeyu Cuare州立公園内で見つかった。シャベルソン氏は2週間かけ現地調査を実施。これが、険しい地形で近づくのが難しいながらも脱出が簡単な場所にナチス幹部をかくまう隠れ家を建設するプロジェクトの一環だったのではないかと考えるに至った。

 ナチス幹部らを追跡している団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(Simon Wiesenthal Center)」によると、アルゼンチンには、ナチスやイタリアのファシスト、クロアチアのファシスト集団ウスタシャ(Ustasha)のメンバーら数千人が逃れ、故フアン・ペロン(Juan Peron)大統領の庇護を受けていた。(c)AFP/Liliana SAMUEL