イタリアでオリーブ枯らす細菌感染拡大、EU警戒強化
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【3月24日 AFP】欧州連合(EU)は23日、イタリア南部でオリーブの木を枯死させている細菌株の拡大を阻止するための「徹底した警戒態勢」を敷く必要性を呼び掛けた。同国はEU圏内で第2位のオリーブオイル生産国だ。
ビテニス・アンドリュウカイティス(Vytenis Andriukaitis)EU保健・食品安全担当委員によると、ピアス病菌(学名:Xylella fastidiosa)の流行を食い止める措置の有効性を調査するために、同委員は近くイタリアに赴く予定という。同菌は2013年に広がり、かんきつ類の果樹園やブドウ園なども脅威にさらしている。
イタリア政府は、ピアス病の影響を受けているプーリア(Puglia)州南部に面積24万1000ヘクタールの緊急対応地域を指定した。オリーブの木を枯らす同病への治療法は今のところ存在しない。
被害が最も大きい同州レッチェ(Lecce)で栽培されているオリーブの木約1100万本のうち、少なくとも10%がピアス病菌に感染していることがこれまでの調査で判明している。アンドリュウカイティス委員が、欧州議会(European Parliament)農業委員会で明らかにした。
同委員によると、EUは「状況について綿密な追跡調査を実行中」で、感染で枯れた木々を根こそぎにすることによる警戒的な対応を取るよう働きかけているという。
イタリアは28か国で構成されるEU圏内でスペインに次ぐ第2位のオリーブ油生産国であるため、ピアス病の感染拡大で経済的に大きな影響が及ぶ恐れもある。しかしEU当局によると、同国政府は栽培者側からの圧力を受け対応が鈍く、事態をさらに悪化させているという。イタリア国内では、長年栽培を続けてきたオリーブ園の破壊に反対の声が高まっている。
フランス、スペイン、ポルトガルなどから防止策の強化を求める声が上がる中、EU特別委員会は26、27日の日程で開催される次期会合で新たな対応措置を協議する予定だ。
一方、イタリアの環境保護団体ピースリンク(Peacelink)は、アンドリュウカイティス委員に宛てた書簡の中で、ピアス病菌以外の菌類をオリーブ枯死の原因として挙げている科学的調査について指摘した。
同団体は、「欧州委員会(European Commission)は、オリーブの木におけるピアス病菌の病原性の解明にすら至っていない検査の結果に基づいて、プーリアの生態系全体に死を宣告するような危険を冒している」と警告している。(c)AFP