【3月24日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は23日、今月の総選挙でアラブ系国民らが「群れをなして」投票していると発言したことを謝罪した。この発言に対しては、米国からの非難も招いている。

 ネタニヤフ首相は17日の選挙当日、アラブ系市民らの高い投票率に対抗するための投票を支持者に呼び掛ける動画をフェイスブック(Facebook)に投稿。「右派政権は危機に直面している。アラブ系の投票者らが群れをなして投票所に向かっている!」「投票所へ向かって下さい!(首相率いる右派政党の)リクード(Likud)に投票を!」と述べた。

 この発言についてネタニヤフ氏は、テレビ放映されたアラブ系市民らとの会談中に、「前週の私の発言が一部のイスラエル市民とアラブ系の人々の気分を害したことを認識している。それは私の意図するところではなかった。お詫び申し上げる」と語った。

 しかしイスラエルの主なアラブ系政党連合で、選挙で13議席を獲得したアラブ統一会派の副代表を務めるアイマン・オデ(Ayman Odeh)氏はこの謝罪の受け入れを拒否。「ネタニヤフ氏の言い訳は受け入れられない。なぜなら、同氏は差別的な法律を持ち込もうとしているだけでなく、氏の発言はアラブ系国民の投票権そのものを脅かした」と指摘している。

 ネタニヤフ氏の予想外の勝利をめぐっては、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領も、「この種の発言は、イスラエルの伝統の最も優れた内容に反するものだ」とコメントしている。

■ネタニヤフ氏に組閣要請へ

 一方でネタニヤフ氏は23日、総選挙で新たに選出された議員らから半数を超える支持を獲得。25日にも、新たな連立政権の正式な組閣要請を受ける見通しとなった。

 イスラエルのレウベン・リブリン(Reuven Rivlin)大統領は次期首相候補をめぐり、新国会に関わる10政党の代表者らと2日間にわたって会談。その結果、67議員を擁立している6派がネタニヤフ氏の首相続投への支持を表明し、定数120の国会での支持者が半数を超えることが判明した。(c)AFP/Hazel Ward