エボラ対応の遅れ、国境なき医師団とWHOが相互に非難
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【3月24日 AFP】1年余り前に感染拡大が始まったエボラ出血熱対策の遅れをめぐり、援助団体の国境なき医師団(Doctors Without Borders、MSF)と国連(UN)の世界保健機関(World Health Organization、WHO)との間で23日、舌戦が勃発した。両組織が、問題の責任は相手側にあると互いに非難し合っている。
昨年3月に確認されて以来、主にギニア、リベリア、シエラレオネで1万人以上の命を奪い、2万5000人近くが感染したエボラ出血熱に対する国際的な対応に関し、MSFは厳しく批判する内容の報告書を発表した。
その中でMSFは、世界的な公衆衛生上の緊急事態への対策を主導する立場にあり、「エボラを制御するノウハウを持っている」WHOが迅速に十分な対応を取らなかったために、「何か月も無駄にされ、多くの命が奪われた」と指摘した。
対するWHOは23日、ごく初期の事例を報告しなかったとしてMSFを批判した。WHO報道官は英国放送協会(BBC)のラジオ4(Radio 4)で、「もし最初の症例または最初の集団感染が発生した(2014年)1月か(2013年)12月の段階でわれわれが(エボラ発生のことを)知っていたら、この感染拡大を制御するのはもっとずっと簡単だっただろう」として、「これらの事例は、残念ながらWHOが関与していないグループが調査した。もう少し詳しく知りたいならばMSFにいる私の同僚に聞けばいいだろう」と述べた。
これを受けてMSFのクリストファー・ストークス(Christopher Stokes)事務局長は、これらごく初期の症例は遠隔地で発生したため、エボラだと確認されるまで時間がかかったと反論。「(2014年)3月半ばに確認が取れた段階で、あらゆる資材を投入し、大規模な支援を開始するべきだった」として、「にもかかわらずWHOは翌日、MSFが誇張していると言った」と明かした。
WHO側はエボラ出血熱への対応が遅く不十分だったことは認めており、独立調査委員会を設置した。委員会は今年5月に報告することになっている。(c)AFP/Eric RANDOLPH