【3月23日 AFP】英ロンドン(London)の高級住宅街では、引っ越すより安く、市が定めた建築物高さ制限にも違反せずに床面積を増やせるとして、地下室の増築が1990年代後半から流行し始めた。

 増築工事に使われた機材の一部はそのまま置き去りにされ、市内の地面の下には約1000台もの重機類が埋もれたままになっている。報道によると、重機を地上に戻すだけで本体価格よりも高くつくためだという。

 ケンジントン・アンド・チェルシー(Kensington & Chelsea)地区では2013年、既存住宅に地下室を増築する工事の許可申請が450件に上り、10年前のわずか20件から激増した。

 ロンドン市長を監視するロンドン議会(London Assembly)のムラド・クレシ(Murad Qureshi)議員(労働党)によると「議論になっているのは、地下2~3階まで増築したうえ敷地の境界を越えて道路の下にはみ出しているような事例」だという。増設された地下室が豪華な大理石のプールやホームシアター、ビンテージカー用ガレージとして使われることも多い。

 クレシ氏は、こうした物件を「アイスバーグ・ホーム」(氷山住宅)と呼び、「超富裕層が広大な不動産をさらに拡大させる行為だ」と批判する。「多くの住民たちが、拡張工事によって洪水や陥没が起きたり、近隣の建築物が損傷したりするのではないかとひどく心配している。地下深くでの建築工事は、近隣に対する破壊行為だ」