米高校、アラビア語で「忠誠の誓い」 住民巻き込んで大論争
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【3月21日 AFP】今月9~15日の「外国語週間」に合わせて米ニューヨーク(New York)州の高校が星条旗に向かって毎朝行う「忠誠の誓い(Pledge of Allegiance)」をアラビア語で生徒に唱えさせたところ、地元で大きな論争が巻き起こった。
この高校はニューヨーク市の北西約130キロにあるパインブッシュ高校(Pine Bush High School)。外国語週間中は毎日、異なる言語で忠誠の誓いを唱えることを決めた。
ところが11日にアラブ系の女子生徒がアラビア語で誓いを唱えたところ、テロリスト呼ばわりされるなどの嫌がらせを受けた。
地元紙タイムズ・ヘラルドレコード(Times Herald-Record)によると、ジョーン・カーボーン(Joan Carbone)教育長のもとにはアフガニスタン(アラブの国ではなく、公用語はパシュトゥー語とダリー語)で戦死した兵士の遺族や、ユダヤ系の保護者たちから批判的な意見が寄せられたという。同地区の退役軍人らは、そもそも英語以外の言語で「忠誠の誓い」を行うことに異議を唱えている。
こうした事態にパインブッシュ中央学区当局はウェブサイトで、外国語での「忠誠の誓い」は「この偉大な国(米国)とわたしたちのコミュニティーはさまざまな人種、文化、宗教によって構成されていること」をたたえるのが目的だったと説明した上で、「この活動を冒瀆(ぼうとく)と感じた生徒、職員、住民たち」に謝罪し、今後忠誠の誓いは英語のみで行うと言明した。
だが学区当局の謝罪は、ある人が米国人であることとどの言語を話すかということの間には何の関係もないと考える生徒や住民たちの反発を招いた。
パインブッシュ高校の学級委員長アンドルー・ジンク(Andrew Zink)さん(18)は、「外国語での忠誠の誓いに多くの人が怒ったが、学区当局の謝罪にも同じくらい多くの人が怒っており、今や誰もが怒っている」と語り、「米国、そして米国人とは、話す言語ではなく、どういう考え方を信じているかによって決まるものだ」と述べた。
パインブッシュは主に白人の住民が暮らしていると言うジンクさんは、この小さな町の住民が「別のグループの人間を受け入れようとしていない」ということが今回の出来事で示されたと語った。
一方、イスラム教市民団体「米イスラム関係評議会(Council on American Islamic Relations、CAIR)」ニューヨーク支部の広報担当、サディア・ハリーク(Sadyia Khalique)氏は、アラビア語を追放したり、アラビア語を特定の住民を攻撃する手段としたりすることは、外国語週間の本来の目的ではないはずだと述べた。
CAIRによるとアラビア語が米国の高校で「偏見による感情的反応」を呼び起こしたのは今回が初めてではなく、2013年にはコロラド(Colorado)州で忠誠の誓いをアラビア語で行った後に生徒の保護者が嫌がらせの電話や脅迫をしたことがあった。同じ2013年にはアラバマ(Alabama)州の高校の生徒の保護者らが、「生徒たちが『憎しみの文化』を学んでしまう」としてアラビア語を学ぶクラスの導入に反対した事例もあったという。(c)AFP