イスラエル首相、「2国家共存否定」を撤回
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【3月20日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は19日、パレスチナ国家の樹立は絶対に認めないと発言したことを否定し、2国家共存の実現にはまだ条件が整っていないとの見解を示した。首相が総選挙の終盤で行ったこの発言に対しては、世界各国から警戒の声が上がっており、米政府は、国連(UN)でイスラエルを擁護する立場を離れることもあり得ると警告している。
ネタニヤフ首相は米FOXニュース(Fox News)の番組で「私は、非武装化したパレスチナ国家がユダヤ人国家を承認するという解決策を呼びかけた6年前の演説で述べた内容のいずれも撤回はしていない。現在の条件が整っていないと言ったのだ」と語った。
ネタニヤフ首相は選挙運動期間中の公約を撤回しようとしているものの、懐疑的な米政府関係者らからは、2国家共存という解決策に向けた交渉に真剣に取り組んでいく意思があるということを、ネタニヤフ氏は証明しなければならないという声が上がっている。
ネタニヤフ氏の投票直前の公約を受けてジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は、バラク・オバマ(Barack Obama)政権が国連(UN)における米国の立場を見直していることを明らかにした。
アーネスト報道官は、「国連で米国が取ってきた措置は、2国家共存こそ最善の道であるという考えを前提としていた」として、「これらの協議に参加している同盟国(イスラエル)が、その解決策をもはや目指さないと発言した。そうなれば本件に関するわれわれの立場を再評価する必要があるということで、それがまさにわが国がこれから行っていこうとしていることだ」と語った。
国連安全保障理事会(UN Security Council)で拒否権を行使できる常任理事国の米国は、パレスチナ国家を認める動きに対し、和平交渉を経た合意の一部でなければならないとの理由で、繰り返し反対してきた。またアラブ諸国が中心となり、人権侵害が疑われるものをはじめ、イスラエルのさまざまな行為を非難しようという国連決議が持ち上がった際も、同国を擁護する立場を取ってきた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、匿名を条件に取材に応じた複数の政府関係者の話として、2国家共存による解決策を盛り込んだ安保理決議をオバマ政権が支持する可能性もあると報じている。またある米高官は、イスラエルが国連で米国からの外交上の後ろ盾を失うことはあるかとの質問に対し、「われわれはその選択肢を除外していない」と述べた。(c)AFP/Jo Biddle and Andrew Beatty, with Hazel Ward in Jerusalem