【3月20日 AFP】(一部更新)国連(UN)人権高等弁務官事務所(OHCHR)は19日、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」がイラクのクルド系少数派ヤジディー(Yazidi)教徒らに対し大量虐殺(ジェノサイド)を行っているとみられ、加害者らを国際司法裁判所(International Court of JusticeICJ)に付託するべきだとする報告書を発表した。

 この報告書には、ISによる殺害、拷問、レイプ、性奴隷化、少年兵起用のおぞましい実態が記されており、「戦争犯罪、人道に対する罪、大量虐殺」に該当する可能性があると示唆されている。

 報告書は、昨年6月から今年2月にかけてのイラクにおける残虐行為の目撃者と被害者100人以上に対する聞き取り調査の結果をまとめたもので、特にヤジディー教徒らに対する残虐な攻撃に焦点を当てている。

 イラクとその隣国シリアの広い範囲を掌握しているISは、イラク北部ニナワ(Nineveh)州の少数派ヤジディー教徒に対し、昨年8月から組織的で広範な攻撃を続けている。

 調査員らによると、ISは成人男性と14歳以上の少年を選び出して「処刑」し、それより幼い少年らには兵士になるよう強制。また女性と少女らは「戦利品」として拉致しているという。

 調査を指揮したスキ・ナグラ(Suki Nagra)氏は、「これらの攻撃はヤジディー教徒の全滅を企図したものだ」として、ISが少数派に対する「ジェノサイド」の罪を犯した可能性があると指摘した。

 イラク政府からの要請を受け、昨年9月に国連人権理事会(UN Human Rights Council)が指示してまとめられたこの報告書によると、一部の村からは「ヤジディー教徒が完全に姿を消した」という。