【3月18日 AFP】米大統領警護隊(シークレットサービス、US Secret Service)のジョゼフ・クランシー(Joseph Clancy)長官は17日、昨年起きたホワイトハウス(White House)への不審者侵入事件などの再発を防ぐため、訓練に使うホワイトハウスの実物大模型の建設費として800万ドル(約9億7000万円)の予算を要求していることを明らかにした。

 米メリーランド(Maryland)州ベルツビル(Beltsville)にある現在の訓練施設は簡素な造りで車両用ゲートや照明などの付随施設もなく、高度な侵入防止訓練には不十分だという。

 クランシー長官は2016年度予算を検討している下院の委員会で、「より現実的な環境の中、実際の事件を想定したシナリオに沿った訓練を行うことで成果につながる」と証言。メリーランド州に建設するホワイトハウスの実物大模型の設計および初期工事費用として800万ドルを要求していることを明らかにした。

 大統領警護隊とは対照的に、米軍は何年も前から本物に準じた実物大模型を使って訓練を行ってきた。

 米海軍特殊部隊(SEALs)の元隊員が書いた暴露本によれば、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者を殺害した2011年の作戦にあたり、シールズはパキスタン国内に潜伏していたビンラディン容疑者の邸宅の実物大模型を建設し、そこで突入の訓練をした上で実際の作戦に臨んだ。この他にもイラクやアフガニスタンの村落を再現した施設で訓練を行っている米軍部隊があることが知られている。(c)AFP